良い結婚相手を選ぶためには、よく同じ趣味を持った方や、価値観が合う方が大切だなどと言いますが、果たしてそうでしょうか？

　生まれ育った環境は千差万別なので、まったく同じ価値観を持った人に出会える確率は奇跡に近いことです。

　それよりも、自分にはない優しさ、包容力、笑顔、道徳心、知識、知恵などをどれか一つでも持っている方を選ぶべきです。内面的に尊敬できる又は素敵だなと思える相手かどうかが重要です。

　心理学の世界でも結婚相手は、「相補性」で選ぶと良いとされています。　
　「相補性」とは、文字通りお互いにないものを補い合う関係です。
　例えば、「大ざっぱ⇔几帳面細」、「浪費家⇔倹約家」、「計算が得意⇔計算が苦手」などです。

　夫婦共に大ざっぱだと、大切な行事を失念してしまったり、トイレットペーパーが切れているのに気がつかないなどの不都合が生じやすくなります。
　また、夫婦共に浪費家だと、家庭は破綻してしまいます。
　このように「相補性」は、お互いの欠点を補い合う関係となりますので、相手のことを必要と感じるのです。
　ですから、結婚後も離婚することなく、手を取り合い続けることの出来る理想の夫婦像と考えられています。
　お相手選びを心理学上の「相補性の法則」をお勧めする理由については、
「日本人は恋愛結婚が苦手！だからこそ、お相手選びは相補性の法則で」の記事も参考にしてください。
　もともと日本人は、恋愛結婚が苦手で、受け身な性質なのに、お見合い結婚が衰退し、恋愛結婚が台頭すると、結婚のお相手を「相補性の法則」ではなく、「同じ価値観」や「共通の趣味」といった「類似性」や、「一時の憧れ」などから選んでしまった結果、結婚生活を続けるうちにお相手の馬脚が現れ、一緒にいる必要性や外から見ていた魅力が感じられなくなり、離婚が激増しているのだと考えています。

　相手に合わせるために、自分が背伸びしたり、自分を偽ってお付き合いしていれば、自分も疲れますし、結婚後に喧嘩の元になったりもします。

　ですから、自分のありのままの姿を受け入れてくれる人を選ぶことが大切になります。
　しかし、何の努力もしてこなかった人のありのままの姿を尊敬してくれる人などいるでしょうか。婚活にあたっては、自分磨きはとっても大切だということです。
　素敵だと思った方に素敵だと思われるためにも、礼節を知り、見聞を広める努力は怠ってはいけません。努力でつかんだ知徳は、必ず自分自身の血肉になります。
　双方が相手を素敵だと思えれば、一緒にいて疲れることはない筈です。

　価値観が異なる場合、その違った価値観にお互いが譲歩できるかどうかは大切なポイントです。
　出産に関する考え方、子育てに関する考え方、親との同居に関する考え方、金銭に関する考え方、日常生活に関する考え方など、対立する事柄はたくさんあると思います。

　育った環境が異なるのですから、対立してしまう事柄はあって当然なのですが、お付き合いする際には、どの部分は譲歩でき、譲歩できないのか、プライオリティをはっきりさせておくことが重要です。
　最も重視することで対立してしまった場合、話し合いができる人かどうかが大切です。
　最も重視する部分で、話し合う暇もなく自分の考え方だけを主張してくる方や真剣に考えてくれない方は、残念ながら、結婚相手として正しい選択ではないということになります。

　「自分がこうされたら嫌だな。」だから、「人の嫌がることはしない。」など、自身の行動規範を持っている人かどうか。簡単に言えば、思いやりがある人かどうかが大切です。

　結婚すれば、子育てや、親の介護、日常の家事、近所とのおつき合いや自治会の役員など夫婦が協力して行わなければならないことばかりです。思いやりがない人だと、一人が苦労していても、その苦労をわかろうとはしません。また、お互いが思いやりに欠けると、幼児虐待にすら繋がりかねません。思いやりがある人なら、相手だけが苦労することを決して善しとはせず、自分もその苦労を分かち合おうとします。

　ですから、一般的に価値観の中で最も重要だとされている金銭感覚で対立しても、生活が苦しくなれば、節約してくれたり、趣味を見直す努力などは必ずしてくれますし、誕生日や結婚記念日には欠かさずプレゼントもしてくれるでしょう。
　相手の苦労を自分のものとして感じることができる優しささえ備えていれば、価値観の相違などで悩む必要はないのです。そういう方であるなら、悩みごとには必ず手を差し伸べてきますから、良い方向になるように、二人で話し合うことができます。また、仮に浮気をしても、そういう方であれば必ず戻ってきます・・・。

　そのような関係を気づくことのできる正しい結婚相手を見つけるために、たくさんの方が様々なアドバイスをしていますが、これらで指摘されている人を全部避けていたら、結婚相手は永遠にみつけられないでしょう。
　独身のうちは、ど派手に遊んでいた人が結婚後は信じられないほど倹約家になって、配偶者を心から大切にしている人はたくさんいます。
　極論を言えば、独身の姿から結婚後の姿を見抜くためには、相手を思いやることのできる優しさを持ってるか否か（例えば、鈍感な人は避けた方がいいのです。）
　なぜなら、相手を思いやるセンスがないから鈍感なのです。お見合いの際は、何気ない表情の変化に気づく人かどうかを試してみるのもいいでしょう。
　ただ、お相手を自分自身が変えてしまうこともありますから、正しい結婚相手を選べばそれで良いと言うものではないのです。
　相手に求めるだけで、相手に優しく接しなかったために、本当は優しい相手を思いやりのない自分本位の人間に変貌させてしまうこともあります。
　だから相手を大切にする心を持って接することで、相手もあなたを大切に思って接してくれる。その様な互譲の関係を築くことが何より大切です。
　少なくとも、思いやりのある優しい異性を選ぶことは勿論、そのような方をいつまでも大切に思う自分自身の優しさも、また必要なのです。